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EU、国境炭素税で優位な「環境ビジネス市場」ポジションを狙う

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2020年からEUでは2つの変化がある。1つはEUの意思決定構造において、ドイツとフランスが重要になったこと。EUを支える3大経済国のうち、イギリスが去ったためだ。もう1つは、欧州委員会は「環境ビジネス」市場を本格的に創出しようとしていることである。

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特に、同政策で検討される環境規制の緩い国からの輸入品にかける国境炭素税に関しては、税金をかけられたくないアメリカ・ロシアは強く反発している。

そんな中、6月29日にメルケル独首相とマクロン仏大統領はベルリン近郊で会談し、国境炭素税が必要との見解を示した。欧州連合(EU)で今後、検討が本格化するとみられる。

国境炭素税(EU carbon border tax)は、環境規制の緩い国で製造された安価な製品によって、域内の産業が不利にならないようにするための方策だ。フォンデアライエン欧州委員長らが導入を主張しており、欧州の二大国である独仏の首脳が賛成の立場を明確にしたことで、検討に弾みが付くとみられる。

EUは2050年に域内の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げている。実現には新しい技術の導入などが不可欠で、短期的には企業のコストを押し上げることになる。国境炭素税によって、公正な競争を維持する狙いがある。

ただ、米国などは国境炭素税が保護主義に結びつきかねないと警戒を強めている。メルケル氏は会見で「世界貿易機関(WTO)のルールと矛盾しないことが必要」とも指摘。「簡単なことではない」と述べ、時間をかけて解決策を探っていく考えをにじませた。

メルケル首相がテレビ会議以外で外国の首脳と対面で会うのは、新型コロナウイルスの感染拡大後、初めてである。ドイツは7月から半年間、輪番制のEU議長国を務める。マクロン氏との会談には独仏の連携を強くアピールする狙いがある。

またマクロン氏は、追加で150億ユーロを「環境ビジネス」の促進に利用することも発表した。マクロン氏の支持率はコロナ危機により低下しており、最近の地方選挙でも敗北した。そのため「環境政策」を強調することで、国内の環境政党勢力も取り込みたい狙いがある。

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