バイデン政権誕生により、再生可能エネルギーへの変革に足並みが揃う世界。 | ドイツビジネスコンサルティング

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バイデン政権誕生により、再生可能エネルギーへの変革に足並みが揃う世界。

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バイデン氏が大統領になることで、アメリカがパリ協定に復帰することが報じられた。これで欧州を筆頭に、日本・中国・アメリカが2050年へ向けた気候中立を目指すこととで足並みが揃った。

グリーンで足並みが揃う世界主要国

アメリカがパリ協定を抜け、「環境ビジネス」に足踏みをしている間、欧州では「競争力を保ちながら気候中立を達成する戦略」を策定し、実証実験まである程度完了させていた。当該戦略は以下のバリューチェーン で構成される。水素を中心としたエネルギーバリューチェーン である。

  • エネルギーの製造:
    洋上風力発電を中心とした再生可能エネルギー発電。
  • エネルギー保存と加工:
    水素の形で保存。また水素をアンモニアやe-fuelなどへ加工。
  • エネルギー消費:
    モビリティの燃料、工場の燃料/原料、冷暖房用ガス等、あらゆる領域で当該エネルギーを活用。

このエネルギーバリューチェーン であれば、 カーボンニュートラルを十分に達成できるというわけだ。ここ数年実施された実証実験は、「Power to Gas」と呼ばれたりもする。

欧州が強みを持つ洋上風力

また欧州では、再生可能エネルギーの発電で洋上風力を重要視している。日本でもそうであるが、太陽光発電では中国企業にコスト競争力で勝てないからだ。(アフリカ等の太陽が強い地域より発電量が少ないことも理由にある)。そのため、欧州企業が風力発電機に強く育った。欧州の電源に占める風力発電のシェアは15%となった。そして世界の風力市場シェアの半分は欧州勢が占めている。さらに日本国内市場でさえ、風力発電機の大半のシェアを欧米勢が占めている。(出所:日本風力発電協会)

日本市場でのシェア

  1. GEリニューアブルエナジー (17.6% / フランス・米)
  2. エネルコン(16.7% / ドイツ)
  3. ヴェスタス(15.9% / デンマーク)
  4. 日立製作所(11.8% / 日本)
  5. シーメンスガメサ(10.4% / スペイン・ドイツ)
  6. 三菱重工業(10.2% / 日本)
  7. 日本製鉄所(6.7% / 日本)
  8. センビオン(3.9% / ドイツ)

上記でわかるとおり、日本勢はこれまで風力発電に積極的でなかった。
日本でのシェア4位の日立製作所は、2019年に日立製作所が中核部材である風車生産の停止を発表していた。7位の日本製鉄所は既に風車生産から撤退済みである。唯一の国内メーカーである三菱重工(日本市場でのシェア6位)でさえ、風車製造をデンマークのヴェスタス(日本市場でのシェア3位)に頼る形となった。

【解説】今更聞けない洋上風力。

バイデン政権誕生により変わる日本

従来より日本はアメリカとの政治的バランスを見ながらビジネスをしなければならなかった。そのアメリカも「環境ビジネス」へシフトしたことから、日本政府・企業も心置きなくこの方向へ突き進める。

そして将来の市場を抑えるためには、「環境ビジネスの先進地域」となった欧州へ目を向けることで、戦略・研究を再興する必要がある。しかし、日本企業は、欧州に関して詳しくなく、情報構築網が弱い。欧州は、これまでは魅力度で劣っていたために、リソース(特に、人・金・情報)を投下しなかったためだ。日本で最も優れたビジネス誌である日本経済新聞でさえも、欧州の情報量が比較的少ない(年々少なくなっている)。

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