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三菱重工、グリーン経済圏への戦略

mitsubishi heavy-energy strategy

2020年11月26日、欧州が先端を走る将来のプロフィットゾーンである「グリーン経済圏」へ向けて、三菱重工は「エナジートランジション」戦略を打ち出した。これにより、2050年までのカーボンニュートラル社会の実現を目指す。この戦略は、常務執⾏役員 ドメインCEO エナジードメイン⻑である細⾒健太郎氏が主導する。

エナジートランジション戦略

次世代エネルギーへ向けた戦略

三菱重工は、次世代エネルギー分野を「エナジートランジション」とし、この事業領域での売上高を2023年度に500億円、30年度に3000億円に高める。

例えば、水素を混焼することで二酸化炭素(CO2)の排出を減らす火力発電向けタービンやエンジンなどの機器開発を進めるほか、CO2の回収や活用などの分野で海外での事業参画や投資を増やす。水素やアンモニアの製造プラントの実証事業などに参画する。この分野の競合にはシーメンスエナジーがおり、シーメンスエナジーは水素を中心とした社会全体のエネルギーバリューチェーン構築を目指している。尚、シーメンスエナジーは今後、新規火力発電所へのプロジェクトには参加しないことも今秋に発表している。

三菱重工は、2050年のカーボンニュートラル社会実現に向けて以下4つのステップを想定している。
①⽕⼒発電の脱炭素化・原⼦⼒によるCO2削減、
②産業⽤エネルギーの効率的な活⽤、
③カーボンリサイクルの推進、
④⽔素バリューチェーンの構築

最終的なビジョンである「水素バリューチェーンの構築」という目標は、シーメンスエナジーと一致している。また水素の市場規模は、2030年に1億トン、2070年に5億トンへと成長すると三菱重工は考えている。

グリーン経済圏へ動く三菱重工

以前発表した弊社のレポートで、世界は「デジタル×グリーン」経済圏へ向けて動いていると述べた。またデジタル経済圏ではアメリカと中国、グリーン経済圏では欧州が先端を走っているとも述べた。

三菱重工は今回の戦略発表に限らず、これをよく理解し、以前より手を打っていると考える。コロナ禍でも欧州で環境ビジネスを進めていたからだ。

具体的に、電力大手ドラックス社と手を組み、同社のバイオマス発電所からCO2を回収する実証実験を開始した。2027年までに商用化を目指す想定だ。他にも、グリーン水素の製造・供給を手掛けるノルウェーのハイドロジェンプロ社へ出資した。出資を通じて、今後、水素を発電システムや肥料製造、製鉄分野などに活用する方法を開発する方針である。



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