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戦略に水素を組み込む英政府の「グリーン産業革命」。

united kingdom government

足並みが揃う欧州主要国

2020年11月18日にイギリス政府は「グリーン産業革命(green industrial revolution)」を発表した。これはグリーンビジネスを促進することで、カーボンニュートラルと雇用創出を同時に実現するための戦略方針である。

ブレエグジットによりEUではなくなったイギリスだが、世界の「環境ビジネス市場」を牽引するという意味で、EUとも足並みが揃っている。

イギリス政府の戦略概要

イギリス政府の戦略方針「グリーン産業革命(green industrial revolution)」の内容は以下の10個である。

  • 内燃車の新車販売禁止時期を5年早め、2030年とする。またEV購入及びEV充電スポット設定のための補助金を提供。
  • 2030年までに洋上風力発電を従来の計画の4倍である40GWに設定。
  • 水素生産を後押し。
  • 原子力発電へ5億2500万ポンドを投資。
  • 住宅や公共施設の建物を断熱するために10億ポンドを投資。
  • 炭素回収の技術へ追加で2億ポンドの投資。
  • 航空、海運部門を環境に優しいエネルギーへと変換するための支援。
  • 毎年3万ヘクタールの植樹。
  • 公共交通機関の利用、サイクリング、ウォーキングを促進。
  • ロンドンを「グリーンファイナンスの世界的中心地」へと進化。

水素を戦略に組み込む

特筆すべき点としては、「水素」を戦略に組み込んだことだと考える。2019年までのイギリス政府の戦略を見ると、水素はあまり重視されていなかった。特に、代替燃料自動車の分野ではEVに集中した戦略であった。しかし、今回は自動車分野の利用とは記載していないものの、e-fuelを含む「水素」が戦略が組み込まれたことに注目したい。

EUでは2020年に、水素の重要性が一気に高まった。それに合わせ、イギリスも足並みを揃えた形となったと考える。

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