シーメンスエナジー、独代表銘柄DAXへスピード昇格。洋上風力・水素・e-fuelへの期待。 | ドイツ戦略コンサルティング

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シーメンスエナジー、独代表銘柄DAXへスピード昇格。洋上風力・水素・e-fuelへの期待。

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シーメンスエナジーが、DAX30(ドイツ株式市場の最上位30銘柄)に採用されることが決まった。同社は2020年4月にシーメンスからスピンアウトし、9月にSDAXとして株式上場したばかりである。同年12月にMDAXへ昇格し、今回DAXへの昇格が決定した。半年でのスピード昇格である。日本でいうと、東証3部から東証2部・1部へと矢継ぎ早に昇格が決まったような凄さだ。シーメンスエナジーは、洋上風力から水素製造・利活用等、グリーンな新時代エネルギーインフラ構築・変革を担う、成長が期待できる注目企業である。

 

シーメンスエナジーとは?

ジーメンスエナジー社は、ミュンヘン近郊の3兆円規模(275億€)の上場企業である(※将来的にベルリンへの移転することが 発表されている)。
同社はシーメンスの伝統ある事業である「ガス&パワー部門」(発電タービン等を製造す)がスピンアウトする形で2020年4月に設立された。
「脱炭素社会の実現のための「エネルギーバリューチェーン全体」をカバーする製品およびソリューションを顧客へ提供。」をビジョンとして掲げており、グリーン成長を目指すエネルギーバリューチェーンの変革者となり得る企業である。
洋上風力でシェア世界一を誇るシーメンスエナジーの親会社でもある。
シーメンスエナジーは、風力発電タービンや水素発電システム、P2Xソリューション等、エネルギー業界の脱炭素化のための事業を有する。
同社の事業成長のキーワードは、「グリーン(脱炭素)×デジタル(DX)」であり、エネルギーバリューチェーン全体を事業領域だと捉えている。

 

シーメンスエナジーとシーメンスの関係性は?

シーメンスエナジーはシーメンスの主要子会社であり、シーメンスガメサの親会社である。
シーメンスはシーメンスエナジーを独立性を高めるために、株式の大半を手放す方針である。
しかしシーメンスは、自社とシーメンスエナジー、シーメンスヘルシニアーズ3社が中心となり、密接に連携するエコシステム(生態系)を形成することを打ち出している。このことからシーメンスエナジーとの関係性を弱めるために持株比率を下げる方針ではないことが伺える。
シーメンスは今後、シーメンスエナジーを切り離し、高収益事業であるデジタル事業に集中する。シーメンスエナジーの事業成長のキーワード「デジタル(DX)」分野でシーメンスと連携することが予想される。
尚、シーメンスグループは、シーメンスブランドを社名に冠する3社体制へと移行したことで、企業価値を最大化することにも成功している。

 

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シーメンスエナジーとシーメンスガメサの関係性は?

シーメンスエナジーは、シーメンスガメサの株式の過半数を保有している。
さらにシーメンスエナジーの事業計画を見ると、シーメンスガメサを自社事業のように扱っていることから、実態としても実効支配していると考えて良い。
シーメンスガメサは、風力発電所関連サービス(風力タービンの販売 、風力発電所の 開発・保守運用等)を提供する、スペインを本拠地とする企業である。
赤字ではあるものの、洋上風力分野で世界一である魅力ある会社であることから、中国等のアジア企業も買収を狙っていると現地ではスペイン現地では報道されている。
しかしシーメンスエナジーは手放すことは考えていないとコメントしている。
実際、「①再生可能エネルギーに夜発電 → ②電力を水素に貯蔵(P2X) → ③水素・電気・e-fuelの形でエネルギーの利活用」するエネルギーバリューチェーン全体を一気通貫でサービス提供可能であることがシーメンスエナジーの強みであるため、シーメンスガメサを手放す可能性は極めて低い。
またシーメンスエナジーとシーメンスガメサは共にリストラを中心とした収益改善を進めている。現在は赤字であるが、2021年には黒字化の目処が立っている。

 

シーメンスエナジーと成長性は?

同社の将来性は極めて高い。世界各国はパリ協定で決定した2050年へ向けたカーボンニュートラル社会の実現を目指し、グリーンエコノミー(経済圏)へ動いている。更に、2020年以降、EU、イギリス、アメリカ、日本が水素戦略を打ち出した。
シーメンスエナジーの事業は、このグリーンエコノミーの中心にある。
このグリーンエコノミーという時代の波に加え、シーメンスが培った実績、信頼、顧客基盤、技術、市場シェアを有する。
更に、シーメンスエナジーのCEOの人選に関しても、産業用ガス大手Linde社(Linde AG)出身のChristian Bruchへ据えることで、事業成長のための人脈も確保している。

また独化学大手BASFは同社と工場を脱炭素化するプロジェクトを開始し、ポルシェもe-fuel開発を共同で進める等、他企業もシーメンスエナジーに呼応している。

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DAXへ昇格するシーメンスエナジー

シーメンスエナジーは、2020年9月にドイツ株式市場の3部であるSDAXに上場した。その3ヶ月後である同年12月にドイツ株式市場の2部であるSDAXに昇格したばかりであるにも関わらず、今回(2021年3月3日夜)、ドイツ株式市場の1部であるDAX銘柄への採用が決定した。
上場から半年で、ドイツ代表銘柄30社(DAX30)に選ばれるスピード昇格である。
しかし株式市場では、2020年初冬からシーメンスエナジーがDAXへ昇格することが予想されていたため、そこまで大きな驚きはない。
「そこまで大きな」と表現したことには意味がある。
既に述べたようにDAX銘柄はドイツを代表する30社で構成される。しかしDAX30の一角であるワイヤーカード社が2020年に大規模不正事件で破産するという、ドイツ株式市場始まって以来の大スキャンダルが発生した。ワイヤーカードはソフトバンクも出資していたフィンテック企業である。この1社だけのために、DAX全体の平均株価が大きく影響を受けたことも問題視された。これを受け、ドイツ証券取引所はDAXを30社から40社へ拡張することを決定した。
話を戻すが、DAXが30社から40社へ拡張された場合、シーメンスエナジーがDAX40に選定されるであろうと市場は予想していた。
2020年3月現在、DAX40の銘柄は発表されておらず、DAX30のままである。この段階で、シーメンスエナジーがDAX銘柄へ選定されたことは多少なりともサプライズであると考える。
しかしシーメンスエナジーの規模・成長性を鑑みると、DAXに選ばれることは当然であると考える。

余談になるが、日本の新聞・経済誌が報道するドイツの企業情報は、DAX30で構成される企業が中心となる傾向にある。ゆえに今回、シーメンスエナジーがDAXに選定されたことにより、日本でもシーメンスエナジーの露出度・注目度が高まるのではないだろうか。
日本もエネルギーバリューチェーンを変革することが急務であり、シーメンスエナジーをベンチマークすべき対象だと考える。
そういった意味でも、今回、シーメンスエナジーがDAXへ昇格したことを喜びたい。

 

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