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日本政府、2050年のグリーン成長戦略を正式発表。

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日本のグリーン成長戦略

日本の経済産業省は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を2020年12月25日に発表した。これは菅政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を「経済と環境の好循環」につなげるための産業政策である。

プレスリリース原文

グリーン成長戦略は、以下14つの重要分野ごとに、高い目標を掲げた上で、現状の課題と今後の取組を明記している。予算、税、規制改革・標準化、国際連携など、あらゆる政策を盛り込んだ実行計画である。尚、当該戦略は経済産業省が単独で作成した計画ではなく、関係省庁とも連携して策定された。

「2050 年カーボンニュートラル に伴うグリーン成長戦略」原文
【14つの重要分野】
1. 洋上風力
2. 燃料アンモニア産業
3. 水素産業
4. 原子力産業
5. 自動車・蓄電池産業
6. 半導体・情報通信産業
7. 船舶産業
8. 物流・人流・土木インフラ産業
9. 食料・農林水産業
10. 航空機産業
11. カーボンリサイクル産業
12. 住宅・建築物産業/次世代太陽光産業
13. 資源循環関連産業
14. ライフスタイル関連産業

グリーン成長を目指す戦略を打ち出したのは日本だけでない。欧州でも1年前に「EUグリーンディール」として同方向の戦略を打ち出している。また米国もバイデン政権へ移行した後、この方向へ向けて経済を進めていくこととなる。

欧州が先行。洋上風力

上記の14分野の中でも、特に、「1. 洋上風力」は欧州が先行している。そのた
め、今後、欧州企業と協力しつつ、日本国内の競争力を高める必要がある。

【解説】今更聞けない洋上風力。

洋上風力発電は欧州で広く普及している技術であるため、自然と欧州企業が強みをもつ領域である。実際、世界の風力発電市場シェアの半分は欧州勢が占めている。特に、独企業シーメンスエナジーの子会社であるシーメンスガメサは、洋上風力の世界シェアの40%を占めている。
一方、日本は太陽光に力を入れてきたが、風力、特に洋上風力は敬遠してきた。欧州と違い浅瀬が少ないため、洋上風力を広めるには難しい自然環境だからである。そのため日立製作所や三菱重工業等、従来技術を持っていた企業は、ここ数年で撤退(事業売却)してしまっている。このため日本企業は、欧州企業と協力・買収しながら、成長する必要がある。既に日立はドイツのエネルコン、三菱重工はデンマークのヴェスタスと提携するなど、協力の動きは2019年頃から始まっている。更に今月、スペインの現地メディアでは、ある日本企業がシーメンスガメサを買収に強い興味を示しているとも報道されていた。

欧州と協力。水素利用

また「3. 水素産業」「10. 航空機産業」に関しては、欧州との協力が予想される分野である。ドイツやEUでは、2020年の夏に水素戦略(EU水素戦略、ドイツ国家水素戦略)を発表されている。

(参考)EU水素戦略

(参考)英政府の「グリーン産業革命」

既にEUコロナ復興基金もこの分野へ多く投資されることも決定している。企業サイドでも、自動車では燃料(e-fuel)や工場エネルギーに水素を利用する等、エネルギーバリューチェーン全体を変革する動きを欧州は見せている。欧州の中でも特に水素分野が強いのはドイツであるが、ドイツは「水素を活用するパートナー国を広げたい」とコメントしており、その国候補に日本も名指していた。

また航空機産業で言えば、日本企業では航空機を作れる会社はない。エアバス(欧州企業)とボーイング(アメリカ企業)の協力が必要となる。EUが水素社会へのシフトを始めた今年、エアバスは水素動力の航空機開発を秋に発表した。


これまで日本はビジネス上、(米国・アジアと比較し)欧州をあまり重要視してこない傾向があった。しかし2050年のカーボンニュートラル社会へ向けて、今後、日本は欧州との関係を強化していくと予想する。デジタル分野では米中に劣る欧州であるが、グリーン分野では世界一だからである。

【関連記事】 ブルー水素を強化する日本。将来はグリーン水素へ。 シーメンスエナジー、独代表銘柄DAXへスピード昇格。洋上風力・水素・e-fuelへの期待。

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