メルセデス、1.4mスクリーン付の高級BEVでテスラ凌駕を目論む。
メルセデスは2021年半ばに高級BEVの「EQC」発売を予定している。EQCは1.4メートルものサイズのディスプレイ(=ハイパースクリーン)等を搭載する高機能BEVであり、テスラを凌駕するためのメルセデスの戦略的商品である。
メルセデスの戦略
ケレニウス社長は2020年に、「ダイムラーの目指す方向性は、LVMH社(ルイ・ヴィトンやディオールを始め、多数の高級ブランドを傘下に置く企業)である」と述べ、高級路線へのポジショニングをより明確なものにした。またダイムラーは「Electric First」戦略を進めており、EVへ更に注力する方針も打ち出している。製品開発リソースの比重を電気駆動装置分野へシフトさせ、走行距離と効率を高めるための新しい技術と概念に投資するとのことだ。
今回発売予定となる「EQC」は、次期大型車の電気自動車アーキテクチャ(EVA)ベースの電気自動車である。EQCを皮切りに今後、4モデルを市場へ投入する予定である。
(参考)ダイムラーはコロナ第1波の四半期を乗り切り、高級路線へ改革を続ける。
テスラ凌駕を目論むメルセデス
この1年でテスラの株価が7倍に膨れ上がったことからわかるように、BEVに対する市場からの期待はますます高まっている。EV市場でも高級車としてのポジショニングで戦う決意を強くしたメルセデスにとって、テスラを凌駕することへの意味は極めて大きい。EQCはこの文脈で、メルセデスが社運をかけた希望だとも言える。
EQCの走行距離は700kmを超え、半自律的な駆動機能および独自の操作コンセプトを提供する予定である。さらに幅1.41メートルの巨大なスクリーン(=「ハイパースクリーン」)とAIベースのソフトウェアを搭載することで顧客体験を高める。具体的には、人工知能に基づく20以上の機能が、スクリーンを通してドライバーに積極的に様々な提案を行う。例えば、ユーザーが定期的にステアリングホイールのヒーターをオンにしてシートを加熱する場合、シートヒーターをアクティブにするとすぐに、ある時点で自動的にこれが提案される。他にも、ドライバーがEQCの「車両リフトアップ」機能を繰り返し使用して、急勾配のガレージ入口でシャーシを持ち上げた場合、システムがGPS位置を記憶する。この記憶した情報をもとに、今後は同様のシチュエーションが訪れた場合、ドライバーへシャーシを再び上げる必要があるかどうかを提案する。
市場では、EQCの初期バージョンは10万ユーロを超える価格に設定されると予想されている。
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