トランプの大失態は、70年で築いたアメリカの威信を破壊したこと
2020年で大統領第1期の任期満了となるトランプ大統領であるが、中国を仮想的と捉える戦略を取ることで再選を狙う。現在、アメリカではコロナウイルス が決定打となり国民は中国への不満を高めている。トランプ氏は、「中国は私を、落選させたがっている」と発言している。
しかし、トランプが第2期も続投するか否かに関わらず、今後のアメリカの国際的地位/信頼度は、トランプ政権以前と比較して大幅に下がると考える。それは戦後からトランプ政権までの50年以上にわたる国際社会に対するアメリカの言動と、トランプ政権のそれとでは、一貫性を保てていないからである。故に、例えトランプ政権が終焉を迎え、次政権で以前のアメリカの姿勢に戻ったとしても、以前ほどの信頼回復は難しいと考える。
もともと、アメリカは自由・平等・民主主義という価値観を絶対正義とし、非人道的な国や非民主的な国には制裁を加え、戦後の世界秩序を主導していた。しかし現代のポピュリズムの火付け役であるトランプ政権はこれまでアメリカが築いた国際秩序を自ら壊した。トランプ氏の「アメリカファースト」は南米・欧州・アジア等、世界中へポピュリズムを蔓延させた。これは、世界へ「アメリカは長期的な行動の一貫性を保てない超大国」という危うい国という印象を植え付けたことを意味する。
実際、今までのアメリカでは考えられない(一貫性のないと考えられる)と国際社会から判断されるトランプ氏の実績例は以下の通りである。
- 中距離核戦力(INF)廃棄条約からの離脱表明
ロシアの中距離ミサイル開発加速の引き金となった - NATOの防衛費負担を理由に脱退を示唆
加盟国は防衛費負担に一旦は同意したが、独仏は欧州連合軍を創設する動きになっている。尚、NATOは冷戦時代にアメリカ主導で作ったものであるが、欧州からすればアメリカがいなくなればロシアとの関係も改善する選択肢も増えるためアメリカを無理に引き止める理由はない。 - イランとの関係を悪化させる
アメリはイラン核合意離脱を表明している。更にアメリカはソレイマニ司令官も殺害した。 - パレスチナとの関係を悪化させる
ユダヤ系アメリカ人のカジノ王シェルドン・アデルソン氏らのロビー活動を優先させ、エルサレムをイスラエルの首都と承認た。 - NAFTA(北米自由貿易協定)見直し
- TPP離脱
- パリ協定からの離脱
パリ協定は中国・インドを含む世界195カ国以上が批准しているが、アメリカは世界第2位の温室効果排出国であるのにも関わらず離脱した。尚、トランプ大統領は石炭ロビーからも多額の献金を受けている。 - WTO脱退を示唆
- 国連の脱退を示唆
- WHOへの拠出金一時停止
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