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中国は国家戦略により、アメリカからグローバル人材を引き抜く。

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中国の「千人計画」とは?

「千人計画」とは、中国へ外国の高度専門人材を呼び込むために実施しているプログラムの名称である。中国は、「千人計画」を通じて、2008年より世界の優秀なグローバル人材を取り混み続けている。中国政府は2010年に、中国国内の1億1400万人もの「グローバル人材プール」を、2020年までに1億8000万人まで増やすと言明した。人材への支出を対国内総生産(GDP)比15%に引き上げる計画だ。この計算では、2019年の金額は2兆1000億ドルを超えたことになる。実際の支出額は分からない。また、資金提供した海外研究者から何を得ているかもほとんど不明だ。

米国の高度人材を引きつけるオファー

米当局者は中国が学術機関をターゲットにし、米国の研究室に軍事研究者を送り込んだり、人材採用プログラムを通じて中国最上位の科学者や起業家、専門家に迎えたりしていると批判する。
一方、中国政府は米国の科学研究を組織的に盗もうとしたことはないと否定。中国国営メディアは米国が知的財産侵害の疑いを政治的道具にしていると断じる。

 

実際、ボストン検察当局は2020年1月、中国の人材引き抜きを巡って注目度の高い事件を告発した。ハーバード大学化学部の学部長が、中国に外国の高度専門人材を呼び込む「千人計画」を通じて、中国から数百万ドルの援助を受けていた容疑で逮捕された。罪状認否はまだ明らかでない。検察によると、リーバー容疑者は中国の機関から月額約5万ドルのほか、個人的費用として年に15万ドルを受け取る契約を結んでいた。また、武漢理工大学に研究所を開設する費用として150万ドル超を受け取る約束もしていたという。

またテキサスA&M大学システムでも、調査の結果、中国の人材採用プログラムに100人以上の教員が関与していたと判明した。テキサス大のある植物病理学者は、人材プログラムの1つを通じて25万ドル(約2700万円)の年収と中国に研究所を開設する際の着手金100万ドル超のオファーを受けたと職員らに述べた。尚、テキサス州に採用されているそうした学者の年収中央値は13万ドル前後であるため、魅力的なオファーであるということがわかる。

高度人材へのアプローチ方法も問題

米ボストン大学では、著名物理学者ユージン・スタンレー教授(78)の下で学んでいる研究者が、中国軍の学術機関の研究者であることを判明した。スタンレー氏は彼女の所属先に不審を抱かなかったと話す。「私は政治に全く興味がない。私は科学者だ」ともスタンレー氏はコメントしている。この中国人研究者は最近、米国ビザ(査証)申請の際に身分を偽り、中国軍中尉であることを隠していたとして起訴された。この事例は、最先端研究の国際協力に対する米大学の開放性が、潜在的に悪用される可能性があることを浮き彫りにした。

 

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