欧州側から見た「RCEP自由貿易協定」。 | ドイツビジネスコンサルティング

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欧州側から見た「RCEP自由貿易協定」。

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世界最大の経済圏の誕生

日本は、中国や韓国、ニュージーランド、ASEANを含むアジア諸国との自由貿易協定RCEP(東アジア地域包括的経済連携)に署名した。
この協定により、世界の経済生産の30%、世界の人口の30%、世界の貿易の28%を占める世界最大の経済圏が誕生する。

欧州側の見解

欧州はこの協定を受け、強い危機感を持っている。欧州が重要市場であるアジアから締め出される可能性があるからだ。特に、中国企業がRCEPに加盟する他の14カ国の市場にアクセスしやすくなることは、欧州企業の販売チャンスを低下させ、中国依存の是正を目指すEUの戦略にも悪影響を与える。
キール世界経済研究所(IfW)の所長であるGabriel Felbermayr氏は、「欧州は既に、日本、韓国、シンガポール、ベトナムなどの重要なRCEPパートナーと二国間貿易協定を結んでいる。しかし、交渉途中である他のASEAN諸国、オーストラリア、ニュージーランドとの交渉を早期に実施する必要性が高まっている。」とコメントした。

またFelbermayr氏は「アメリカはこの4年間で、アジアで大きな地位を失った。太平洋横断協定は米国なしで発効し、RCEPはオーストラリア、韓国、シンガポールとのみ地域協定を結んでいるアメリカを締め出した。」との見解も示している。ドイツ経済研究所(DIW)のMichael Hüther氏も同様に「トランプ大統領のアジア経済政策の失敗が明らかになった。」とコメントした。これはトランプ大統領はオバマ元大統領が進めていたTPPを中止し、米国抜きの貿易協定RCEPを締結させたことを指す。アジア地域での米国の影響力を低下させ、逆に中国の影響力を強めることを意味する。