フォルクスワーゲン、ID.3好調。EV販売4倍でマーケットリーダーに。
フォルクスワーゲンは、2020年の欧州でのEV販売を前年比4倍超へ伸ばした。昨年より注目されていたBEVモデルのID.3は目標を上回る好調な販売状況である。しかし、欧州連合(EU)が今年より厳しくするCO2排出規制の基準値にわずかに届かなかった。
VWはEV販売を4倍超へ伸ばす
フォルクスワーゲングループはEVを強化する戦略(TOGETHER 2025+)を打ち出している。背景には今年(2021年)にEUで強化される排ガス規制による罰金を回避したい考えがある。そのためEV(BEV, PHEV)の開発・販売を強化しており、特に2020年9月に発売したBEVモデルID.3は社運をかけた製品である。ID.3は電気自動車用モジュラープラットフォームシステム(MEB)に基づいて製造するVWグループブランド最初のBEVである。ドイツ政府のEV購入補助金を考慮すると、4万ユーロ以下で購入が可能な大衆車となるBEVである。結果、ID.3は好調でVWの販売目標を上回る勢いを見せ、3ヶ月間(2020年年末まで)で56,500台を顧客に納品した。
フォルクスワーゲングループの欧州(英国、ノルウェー、アイスランドを含)でのEV販売は前年比4倍超の315,400台に達した(2019年:72,600台)。
VWは欧州BEV市場のマーケットリーダーに
フォルクスワーゲングループ内のEV販売シェア(BEVとPHEV)は、2019年はわずか1.7%であった。しかしEV強化が功を奏し、2020年は9.7%まで高めることに成功した。これにより、フォルクスワーゲングループは、西欧のBEVセグメントで約25%(2019年:14%)のシェアを持つ明確なマーケットリーダーの地位を確立した。
VWのID.3だけでなく、アウディのe-tronモデルも、これに貢献した。昨年と比較して+79.5%(47,300台)と、大幅な増加を記録した。アウディe-tronは、世界中のドイツのプレミアムメーカーの中で最も売れている電気自動車となった。
EUのCO2排出規制基準値に届かず
欧州連合(EU)は2021年以降の新車販売におけるCO2排出量の平均を95g/km以下とするよう、規制を強化する。また2020年よりCO2の排出規制を順守できない乗用車メーカーに制裁金を課すルールが2020年に導入された。排出許容上限を1グラム超過するごとに1台当たり95ユーロの制裁金を課されることになっている。
フォルクスワーゲングループはVWとアウディでEV販売が好調であったがグループ全体ではそうではない。VWグループはEUにおける新車販売におけるのCO2排出量の平均値を2019年と比較して約20%削減したものの、2020年はわずかに基準値に届かなかった(99.8 g/km)。Covid-19パンデミックにより、計画が狂ったとの見解をVWは示している。尚、独メーカーでは高級車のメルセデスベンツとBMWが同規制を順守した。
VWグループCEOのハーバート・ディース氏は「フォルクスワーゲンとアウディに加えて、CUPRAとシュコダも魅力的なEVを発売するため、2021年は基準値を遵守することが可能だ」と自信を滲ませてるコメントをした。
【関連記事】
VWグループ「TOGETHER 2025+」戦略
VWはコロナを背景に構造改革加速の方針。
—————————————————————————————–
ドイツビジネスコンサルティングは、日本本社が検討すべき「一歩先の戦略テーマ」をドイツで掴み、戦略コンサルティングを提供します。欧州に関する戦略/調査は、弊社にお任せください。
ご相談・お問合わせは、下記よりお願いします。
お問合わせフォーム—————————————————————————————–