新興国でもEVシフト?脱内燃車は先進国だけでない。 | ドイツ戦略コンサルティング

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新興国でもEVシフト?脱内燃車は先進国だけでない。

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EU・中国・米国を中心に、先進国ではEVシフトが加速している。
内燃車を製造する従来型の自動車メーカーでは、「内燃車はEVインフラが整っていない発展途上国では需要があるので、そこで販売すれば良い。」と考えている会社もある。
しかし、内燃車市場とみなしていたアフリカでは、一部の国々がEVを普及させようという動きを見せている。
今後の世界戦略を検討する上で、この動きを理解し、戦略を検討する必要があると考える。

アメリカでも加速するEVシフト

2050年までに温暖化ガス排出を実質ゼロにすると、世界各国は2015年のパリ協定で合意した。
そのために、すべての産業で転換が求められている。具体的には、化石燃料エネルギーを風力・太陽光などの自然エネルギーへの転換、石油(ガソリン・ディーゼル)をエネルギー源として走る内燃自動車をEVやe-fuelへの転換等である。
今月(2021年4月)も、国連のアントニオ・グテレス事務総長は、2040年までの石炭火力発電の全廃が必要だと発表した。
また同月、アメリカのバイデン政権は「米国雇用計画」を発表し、インフラ整備や気候変動対策に8年間で2兆ドル(約220兆円)を投じると主張した。現在、EVの販売台数は中国が世界最大であり、次いでEU・アメリカという状況である。
EVに懐疑的であったトランプ政権中に、中国とEUは政府主導でEV普及を加速させていた。
2021年にバイデン政権へ移行したアメリカは「米国のEV販売が占める比率は中国の3分の1しかないため、この状態を変えなければいけない」との意気込みで、今回、米国雇用計画では以下のようなEV普及政策が盛りんだ。

  • 米国製EVを購入する消費者への税制優遇制度や補助金を設ける。
  • ディーゼルの運送車両5万台をEVに置き換える。
  • 50万台あるスクールバスの最低2割をEVに置き換える。
  • 地方政府や企業に対する補助金制度をつくり、30年までに充電設備を全米50万カ所整備する。
    (日本のEV充電スポットは約1万8000カ所なので、約30倍の規模)

EUではPHEVでさえ禁止の方向

またEUでは、内燃車だけでなくPHEV(プラグインハイブリット)も、BEV(100%電気で走る自動車)へ移行することが求められている。EUでは規制厳格化に直面し、自動車メーカーはPHEVから手を引くスピードを早める可能性がある。
一部の自動車メーカーは、バッテリー電気自動車(BEV) への「つなぎ」として、少なくとも2020年代末まではPHEVの販売を続ける構想だった。しかしEU規則草案では、2025年以降、メーカーがPHEVを「サステナブル投資」に分類することを禁じることになっている。このため、業界ではPHEVから離れる動きが進行しているようだ。
2015年から毎年、車種数ではPHEVがBEVを上回っていた。しかし2028年までの欧州の自動車製造計画をみると、BEVが86車種の製造される予定であるのに対し、PHEVはわずか28モデルになる。

このように、エンジンを利用する自動車は先進国で販売することは難しくなっていく。

新興国で内燃車需要があるとみなすAudi

もちろん自動車メーカーは市場の動きを見越し、2015年以降、EVシフトを進めている。
実際、ドイツの主要自動車メーカの5ブランドだけをみても、46車種ものEVを市場へ投入することを決めている。
(フォルクスワーゲン15車種、BMW8車種、メルセデス8車種、アウディ7種、シュコダ6種、ポルシェ2種)
しかし、アウディなどの一部の自動車メーカーは新興国では内燃車需要があると考えている。充電インフラを整備することが難しいからだ。
しかし、自動車の普及も十分でない発展途上国が、内燃車でなくEVの普及に注力する可能性は十分にある。
理由は2つある。日本や中国、インド等、新興国が経済発展時に直面したように、工場や自動車で排出されるPM2.5のような自動車の排気ガスによる公害問題を防ぐことが可能であること。EVは製造が簡単であるため自国のEVメーカーを育てることも比較的簡単であることである。

EV化を進める新興国。アフリカの事例

アフリカでは、エジプト、ウガンダなどの一部の国でEV生産を目指す動きが広がっている。またケニアの首都ナイロビではEVタクシーが登場し、モロッコでは国産の充電スタンドも設置された。ルワンダでは電動バイクをつくるスタートアップ企業も現れた。
アフリカの国々が自国のEVメーカーを育てようとする動きもある。しかし、そこには中国の技術・資本が関わっている。
例えば、ウガンダでは、中国恒天集団から技術移転を受け、国営の新興自動車会社キイラがアフリカ初のEVバス量産を目指している。エジプトの国営自動車会社ナスルは1月、中国の東風汽車の傘下企業とEVの生産協力で合意した。

世界では10年前にガラケー(2つ折りタイプ)が携帯電話の主流であった時、インドでは携帯電話やPCがまだ普及していなかった。しかし、今を見ればわかるようにインドではガラケが普及せず、一足飛びでスマートフォンが普及した。
このように新興国で販売可能であると考えている内燃車も、蓋を開ければそうではない可能性がある。
このようなシナリオがあるため、自動車業界は「新興国市場で内燃車が売れるから大丈夫。」と安易に考えず、しっかりと市場を見極めて戦略を練る必要があると考える。

【参考記事】
アップルカー発売に驚きはない。Appleとパートナーになる選択も日本勢は考慮すべき。
e-fuel普及シナリオも用意すべき。

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