EV専業へ大転換。英高級車「ジャガー」Reimagine戦略。 | ドイツビジネスコンサルティング

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EV専業へ大転換。英高級車「ジャガー」Reimagine戦略。

jaguarlandrover

イギリスのジャガー・ランドローバー社は「Reimagine戦略」を発表した。ブランド全体で2030年までに電気自動車を取りそろえる計画である。高級ブランド「ジャガー」は2025年までにすべて電気自動車にする。高級SUVブランドの「ランドローバー」は2036年までに、ガソリン車やハイブリッド車の販売をやめ、EVとFCV(燃料電池車)に集中する考えだ。


「Reimagine」戦略の全体像

2021年2月、イギリスの高級自動車メーカー、ジャガー・ランドローバーは「Reimagine戦略」を発表した。2008年より同社はインド、タタグループの子会社である。

ジャガー戦略発表の原文

イギリス政府は2030年から、ガソリンとディーゼル車の新車販売を禁止する計画を明らかにしている。ジャガー・ランドローバーの今回の発表では、2030年までに全ブランドで電気自動車を取り揃える計画である。現在はジャガー6車種のうち、1車種「I-PACE」しかBEVモデルはない。そのI-PACEもマグナへ生産委託している(※デザインとエンジアリングはイギリス国内)。この状況を考えると、大転換である。

高級ブランド「ジャガー」は2025年までにすべて電気自動車にする。高級SUVブランドの「ランドローバー」は2036年までに、ガソリン車やハイブリッド車の販売をやめ、EVとFCV(燃料電池車)に集中する考えだ。電気自動車の技術開発へは年間25億ポンドを投じる計画である。

また2039年までにサプライチェーン、製品、オペレーション全体でCO2排出量をゼロにする目標を掲げている。

ジャガー・ランドローバーの生産・開発計画

ジャガーでは今後、全車種のベースとなるEV専用の共通車台を開発する。ランドローバーでは2024年に初のEVを投入する。その後、2026年までに6タイプをそろえ、同時に現在主力のディーゼル車は撤退する。

ジャガーと異なり、ランドローバー向けにはEVだけでなくFCV(燃料電池車)の開発も進める。

ジャガー・ランドローバーのイギリス国内の3工場については、新戦略の下ですべて稼動を続けるとした。キャッスル・ブロムウィッチ工場でジャガーの旗艦サルーン「XJ」を製造する計画は、取りやめになっている。同工場についてティエリー・ボロレCEOは長期的には「非製造」活動に集中することになるとコメントした。しかし詳しい説明はなかった。

イギリス政府とランドローバーはFCVへも期待

そもそも2019年まではイギリス政府は水素に力を入れていなかった。実際、イギリス政府は「EVが本名である。水素は他国が研究を進めているため、自国の研究者のモチベーションを保つために投資は続ける。」との声明も出していた。

しかし2020年に入り、EUが水素戦略を打ち出したことをキッカケに、イギリス政府も水素戦略を打ち出し、方向性が変わった。尚、同年終盤に、日米も水素戦略を打ち出した。(※日本は2017年に一度発表しているので、刷新と行っても良い。)

欧州委員会はEU水素戦略を策定し、新組織を発足。 戦略に水素を組み込む英政府の「グリーン産業革命」。

ランドローバーのFCV開発の背景には上記がある。
またイギリス国営放送のBBCの報道では、以下のように報じた。

“ジャガー・ランドローバーは、水素燃料電池テクノロジーにも投資する。水以外の排出物を出すことなく電力を供給する技術だ。
ただ、それが真に環境への負担が少ないものになるには、再生可能な資源を使って水素をつくり出す必要がある。
グラント・シャップス英運輸相は今回の発表を受け、「イギリスの自動車メーカーにとって非常に大きな一歩だ」と述べた。”

(原文)Jaguar car brand to be all-electric by 2025

ラグジュアリーブランドの戦略

欧州のラグジュアリーブランドは、ジャガー・ランドローバーの他にも、ベントレー、フェラーリ、ポルシェ、ダイムラー、BMW、Audi等、がある。おそらくアップルカーもこのセグメントへ参入することが考えられる。

アップルカー発売に驚きはない。Appleとパートナーになる選択も日本勢は考慮すべき。

EVが重要であることはいうまでもないが、ラグジュアリーカーセグメントで戦略を整理すると、違った見え方もある。

例えば、ジャガーやベントレーは2030年までに全車種をEVにすると発表した。ランドローバーはFCVの選択肢も残している。またポルシェはe-fuelを利用してエンジンで勝負したいという意思も感じられる。

e-fuelで連携、ポルシェとシーメンスエナジー。 水素の液体燃料e-fuelへ。トヨタ勢がAudiを追い始める。

高級車はブランド力があり、高利益のビジネスが可能である。そのため、e-fuel、FCV、EV等、多くの選択肢があり、またEVへと舵を切る場合もマグナのような完成車受託生産会社と連携し、ファブレスの選択肢もある。



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