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VW、アクセレレート戦略発表。世界一のモビリティブランドへ。

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フォルクスワーゲンは2021年3月5日に「ACCELERATE戦略(アクセレレート戦略)」を発表した。アクセレレート戦略では、これまで続けていたモビリティプロバイダーへと変革するための取組みを加速すると共に、「世界で最も魅力ある持続可能なモビリティブランドを築く」ビジョンも打ち出された。

【更新日:2021年3月16日】
VWは、3月15・16日にEV電池等の事業計画(ロードマップ)を発表した。
本記事の関連情報であるため、同計画について追記する。



アクセレレート戦略の位置付けは?

フォルクスワーゲンは2016年以降、経営戦略「Together2025(2016年発表)」・「Together2025+(2018年発表)」の下で、自社をモビリティプロバイダーへと変革する取り組みを推進していた。中でも、VWは内燃車からEV化へ向けた変革を力強く進めている。その結果、欧州EV市場のマーケットリーダーの地位をVWは勝ち取るに至った。

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アクセレレート戦略の発表は、これまで進めていた「自動車メーカーからモビリティプロバイダーへと変革」する速度を加速させる意思表示である。またソフトウェアドリブンで変革を加速させるとの意思も示した。

アクセレレート戦略とは?

VWはアクセレレート戦略でビジョンを掲げた。

「世界一の魅力的な持続可能なモビリティブランドを築く(the most attractive brand for sustainable mobility)」である。

このビジョン実現へ向け、VWは3つの戦略ドライバーを設定した。

「ブランド価値(brand value)」「 スケーラブルプラットフォーム(scalable platforms)」「企業価値(valuable enterprise)」の3つである。

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またラルフ・ブラントシュテッターCEOは「今後の数年間で、VWは今までになかった程の大転換を遂げる。」とコメントした。



アクセレレート戦略の具体方針

VWはさらに、以下4つの具体的方針を示した。

  • 電動化の推進(Electrification)
    従来の2030年までに欧州市場で販売する自動車の35%をEVとする計画を2倍の70%へ引き上げる。北米・中国でのEV販売を50%とする。


  • ソフトウェア起点の商品開発(Software defined product)
    自動車とデジタル体験を統合するソフトウェアをVWのコアコンピテンスへと昇華する。今後は自動車をネットワーク化を進め、かつ、顧客からのフィードバックを得る仕組みも作る。この情報をもとに車両ソフトウェアを無線で常にアップデートし続けることで競争力を高める。
    【関連情報】コアコンピテンスとは?

  • 新規ビジネスモデルの開発(New business models)
    自動車をソフトウェア製品へと変革することで、新しい収益源を生み出す。充電サービスを含むエネルギー分野、自動運転、顧客が望むソフトウエアの提供などの方向性で検討を進める。


  • 自動走行の早期実現(Autonomous Driving)
    2026年に発売する「トリニティ」より、顧客へ自動運転を提供する。トリニティではレベル2の自動運転が搭載され、将来的にはレベル4での走行を可能にする予定である。


戦略推進のための予算計画

VWはアクセレレート戦略推進のために160億ユーロの投資を計画している。その資金を確保するため、営業利益率6%を2023年までに達成する方針である。具体的には、固定費の​​5%削減、材料費7%削減、年間5%ペースでの生産性向上を計画している。



【追記】VWのEV電池「統合セル」

VWは3月15日、EV電池分野における2030年までのロードマップを発表した。
EVの生産能力拡大と電池製造コストの大幅な削減が柱となる。また急速充電インフラの拡充にも取り組む。

VWは欧州に6カ所のEV電池の調達先(=工場)を確保する。EV電池工場の生産能力は、合計で年間240GWhの規模となる。その内の80GWhは、提携するスウェーデンのEV電池メーカーであるノースボルトからの調達する計画である。

ノースボルトは2023年の操業をターゲットに、スウェーデンのシェルレフテオーでEV電池工場の建設を進めている。VWは同工場から最終的には年間40GWhの規模の電池を調達する計画である。
またドイツのザルツギターでも、VWはノースボルトと共同で工場建設を進めている。同工場は2025年に操業開始予定であり、最終的には年間40GWhの規模の電池を生産する計画である。

VWは電気自動車(EV)用車台を2種類、開発した。1つは大衆車用「MEB」、もうひとつは高級車用の「PPE」だ。スウェーデンのシェルレフテオー工場では高級車用のEV電池、ドイツのザルツギター工場では大衆車向けのEV電池(=統一セル「unified cell」)を生産する計画である。

大衆車向け(=量産型)の「統一セル」は、2030年にはVWグループのEV全体の80%に搭載する計画である。2023年をターゲットに市場へ投入開始することを目指す。

尚、VWは次世代車台「SSP(スケーラブル・システム・プラットホーム)」を、2020年代半ばまでに開発することも発表した。SSPは拡張性の高い車台設計とし、全グループブランドのすべてのセグメントの車両に投入する計画である。
EV生産コスト削減の観点から、SSPにも「統一セル」を搭載する可能性も高いと予想する。



【追記】EV電池の生産コスト削減計画

VWは「統一セル」により規模の経済が働かせ、EV電池コストを削減する計画である。さらに、EV生産方式の改善や電池のリサイクルを進めることによって、大幅にEV電池コストの削減を目指す。
EV電池のコスト削減幅は、エントリークラスで最大50%、ボリュームゾーンで30%を計画している。結果、1キロワット時(kWh)当たりのEV電池の平均生産コスト100ユーロを大幅に下回る水準へと引き下げることが可能となり、EVを一般消費者とすることを想定している。尚、EV電池生産コストが1キロワット時で100ユーロを下回れば、EVの生産コストはガソリン車を下回るとされている。



【追記】EV急速充電ポイントの拡大

またVWはEVの課題である「急速充電」に関する方針も発表した。急速充電ポイントを2025年までに欧州で1万8,000カ所へ拡大することを目指す。
同計画は英BPと西イベルドローラ、伊エネルの3社と協業し、VWは4億ユーロ投資する。
尚、欧州だけでなく、VWは米国と中国でも急速充電網を構築する計画も発表した。アメリカでは現地子会社エレクトリファイ・アメリカが年内に3,500カ所の急速充電スポットを設置する。中国では合弁会社CAMSが2025年までに1万7,000カ所を設置する計画である。

【参考記事】 EV専業へ大転換。英高級車「ジャガー」Reimagine戦略。



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