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欧州EV市場が世界最大に。日本はEV・FCEV普及で他国に遅れる。

EV

IEAが公表したコロナ下にあった2020年の世界のEV及びFCEV市場の販売台数について考察する。
長年、世界一に君臨していた中国を抜き、欧州がEVの世界最大市場へと躍り出た。コロナ下でも増額したEV購入補助金が功を奏した。
一方、日本のEV販売台数は約3万台の規模であった。
またFCEVの世界最大市場は韓国であり、次いで米中の販売台数が大きい。日本は第4位と遅れをとっている。

欧州EV市場が世界最大に。

欧州は中国を抜き、とうとう世界最大のEV市場(BEV+PHEV)となった。
欧州は2015年のVW排ガス不正以降、急速にEVへシフトした。
以前(下部リンク記事)、コロナ下にありながらも欧州はEV販売を伸ばしており、市場規模と成長面で見て世界最有望市場であると見解を述べた。
BEV世界市場で最も有望な地域は欧州である。
コロナ危機でも、欧州のBEV市場は58%と大幅成長
今回、欧州のEV販売台数世界一であると判明したことで、世界で最も魅力あるEV市場であることが証明された。IEA(2021年5月公表)によると2020年の世界EV販売台数(BEV+PHEV)の上位地域は、欧州が約140万台、中国約110万台、アメリカ約30万台であった。欧州内を見るとドイツ40万台、フランスとイギリスが18万台と、ドイツ1国だけでアメリカ市場を超える市場規模へと育った。尚、日本のEV販売台数は約3万台の規模である。
また中国・アメリカの販売台数は、前年度比で大きな変化が見られなかった。
しかし、欧州のEV販売台数は前年度比で2倍超と大きく成長した。
もちろん、欧州市民の環境意識が高いことも要因にあるだろう。
だがこの成長は、EV購入の補助金が大きな原動力となっていると考える。
2020年のEV補助金を見ると、中国は前年より減額した3000ドル程度であった。
一方、ドイツ*やフランスでは逆に増額し、それぞれ9000ドル・6000ドルもの補助金を出している。
EUは2050年に域内の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標達成に向けて長期的な対策を進めており、補助金が急にゼロとなる可能性は低い。さらに自動車メーカーも多様な車種と価格を取り揃えつつあることからも、今後も欧州の成長が見込まれる。
しかし注意したいのはEV市場を育てる一方、裏ではe-fuelを開発する動きも見えていることだ。

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FCEV市場でも韓米中に出遅れた日本。

FCEVの技術力では日本は世界トップである。
また日本政府が世界に先だって水素戦略を打ち出していた点から見ても、当初、日本が世界のFCEV市場をリードするかのように思えた。
しかし2020年のFCEV市場(販売台数)の世界シェアを見ると、韓国29%、アメリカ27%、中国24%、日本12%と、残念ながら日本はトップ3国に遅れをとっていることがわかる。
しかしFCEVのインフラ(充電スポット)では日本は負けていない。
充電スポットの設置数シェアのトップが日本25%である。
その一方、韓国はドイツ・中国・アメリカに次いで4位(9%)という結果となった。
このような現状だが、FCEVの世界販売台数は年間わずか約3万5千台、充電スポット540カ所しかない。
そのため、普及政策によって順位も簡単に入れ替わるような規模である。
脱炭素化に向け、EV、FCEV、e-fuel、水素エンジンと多様なシナリオがある。
そのため表のニュースだけに踊らされず、市場をしっかり見極めることが重要である。

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*(補足)ドイツのEV補助金について

ドイツ連立与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)は 2020年6月3日、新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けた事業者や市民を支援するため、1300億ユーロ規模の景気対策を発表した。この一環で助成プログラム「イノベーション・プレミアム」のガイドラインを改定し、電気駆動車(エレクトロモビリティ)を対象とした購入補助金が引き上げた。
連邦政府と自動車メーカーが共同で実施している電気駆動車(エレクトロモビリティ)を対象とした購入補助金は、純粋な電気自動車では最大 9000 ユーロに、プラグインハイブリッド車は 6750ユーロに引き上げられる。政府負担の助成金がこれまでの2倍となるためで、例えば、電気自動車では、政府による助成金がこれまでの3000ユーロから6000 ユーロに引き上げられ、自動車メーカーの負担(3000ユーロ)と合わせて 9000 ユーロとなる。2020年6月4日以降に購入またはリースを開始した車両が対象となり、2021 年 12 月 31日までの時限措置とする。また、ガイドラインの改定により、使用期間の短い中古車も助成の対象に加わった。2019年11月5日以降に新車登録した車両で、2回目の登録が2020 年6月4日~2021年12月31 日までの車両が対象となる。
さらに減税や購入補助金の引き上げにより、電動車や CO2 排出 量の少ない自動車の普及を促進する。具体的には、自動車税の基準を 2021年から、二酸化炭素(CO2)排出量とする。走行1キロメートル当たりのCO2排出量が 95グラムを超える車両については段階的に税金を引き上げていく仕組みとする。電気自動車の自動車税を 10 年間免除する既存の優遇措置は、2025 年12月31日まで実施する。なお、免税期間は最長で2030年12月31日までとしている。

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