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トヨタ、「e-fuelエンジン」「水素エンジン」の両方に開発意欲。

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自動車動力の将来シナリオはEVだけでない。e-fuelや水素エンジンが普及する可能性も視野に入れるべきである。トヨタは内燃エンジンで走るe-fuelエンジン・水素エンジンの両方の開発意欲を示した。

e-fuelに意欲を示す

2021年4月22日、日本自動車工業会会長としてトヨタの豊田章男会長はオンラインで会見し、e-fuelを普及させるべきとの考えを示した。
ガソリンエンジンの中古車でも、走行時の二酸化炭素の排出を抑えられるよう、バイオ燃料をはじめ、カーボンニュートラルの新しい燃料を広げていくべきだという理由で、トヨタ会長は以下のように述べた。
「日本は優れた環境技術や省エネ技術があり、エネルギー業界では、水素でつくるeーfuel=合成燃料やバイオ燃料などの技術革新に取り組んでいる。自動車業界が持っている高効率のエンジンとモーターの複合技術に新しい燃料を組み合わせれば、すでに販売された車や、中古車を含めたすべての車でCO2削減を図れる。自動車業界はカーボンニュートラルの『ペースメーカー』として役に立てるのではないか。」
e-fuelはAudiをはじめ欧州が先行している分野であり、トヨタも開発を進めている。e-fuelの問題は製造コストの高さである。しかし、欧州では2025年頃からガソリンと比較した価格競争力を持ち始めると言われており、期待されている。尚、トヨタは水素利用に向けて2017年1月に開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)で発足した水素評議会(Hydrogen Council)にも参画している。

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「水素エンジン」技術開発に挑戦

また同日、トヨタはカーボンニュートラルなモビリティ社会実現に向けて、「水素エンジン」の技術開発に取り組むとプレスリリースで発表した。2021年5月21日に行われるスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第3戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レースから、「ORC ROOKIE Racing」の参戦車両として投入する。
水素エンジンは、ガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更し、水素を燃焼させることで動力を発生させる。走行時には、ほぼCO2を排出しない。また水素エンジンにおける水素の燃焼の速さは、ガソリンよりも速く、応答性が良いという特徴があるため、クルマが持つ音や振動を含めた「クルマを操る楽しさ」を実現する可能性を秘めている。
今回の水素エンジンには、昨年9月に販売を開始したGRヤリスなど、モータースポーツで鍛え続けてきた技術も活かしているとのことだ。安全性については燃料電池車の開発やMIRAIの市販を通して、積み重ねてきた技術・ノウハウを活用する。
水素を直接活用するため、e-fuelよりも燃料面での価格競争力があると考える。しかし、給油(給ガス)インフラの設置数の多さの面からみるとではe-fuelの方が優位だと考える。インドを除き、自動車の給油(給ガス)インフラは、天然ガスよりも液体燃料(ガソリン・ディーゼル)の方が普及しているからだ。

EVだけでない将来シナリオ

世界ではEVは急速に販売台数を伸ばしている。しかしEVにはいくつかの問題がある。走行距離の短さや、バッテリーが炎上するなどの技術的問題、給電インフラ網の不足といった問題だけではない。バッテリーメーカーやバッテリー原料のリチウムを抑える中国との外交上の問題、自動車メーカー(及び自動車産業が強い国)の国際競争力(経済)を守るといった事情もある。
(※EVは製造が簡単であるため参入障壁が低い。そのため、アフリカの新興企業でさえ参入が容易用である。)
このため、EV以外の自動車が普及する可能性も十分にありえる。
またトヨタの豊田社長は「最初からガソリン車やディーゼル車を禁止するような政策は、技術の選択肢をみずからせばめ、日本の強みを失うことになりかねない。いま日本がやるべきことは技術の選択肢を増やすことであり、規制、法制化はその次だ。政策決定では、この順番が逆にならないようにお願いしたい」と、見解を示している。

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